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2009年 04月 22日 ( 1 )
デザインは作品か?
 何年かに一度、欠員補充のためにグラフィックデザイナーを採用するが、その時、上司が「いついつどこどこで面接をしますので、履歴書と作品を持ってきてください」とかなんとか連絡をしているのを聞いて、「作品?」と違和感を覚えてしまう。
 だいたい、私たちがやっているようなグラフィックデザインは、アートな仕事ではないので、例えばイタリア旅行のチラシをキレイに作ったところで、それを「私の作品です」と言うことに少なからず抵抗を覚える。「作品」という言葉には、「自己表現」という意味が内在していると思う。ところがグラフィックデザインは、そりゃたしかに少しは自己表現もあるだろうが、クライアントの意向に添っていかに効果的な表現が出来るかが“肝”なわけで、その時点で自己表現から離れて常に客観性を求めていかなければならない。最終的にはクライアントのOKがあって印刷されるわけで、刷り上がったチラシやパンフを指して「私の作品」などと言えるものじゃない。もしそれを作品と呼ぶならば、クライアントにとっての作品であってグラフィックデザイナーのものではない。
 ま、「作品」という言葉の定義にもよる話だが・・・。

 一方で美術作品が、「じゃあ、自己表現ならばなんだっていいのか」というと、これが決してそういうわけではなくて、独りよがりでなにが描かれているのか、なにを表現しようとしているのか、それが伝わらない作品はマスターベーションでしかない。見る人に何かしら感動を伝える作品にするためには、ある程度の客観的な表現とそれができる技術が必要になってくる。ところが、ひとりで描いているとなかなかその客観性を維持できない。そこで、誰かしらに批評なり評価なりをしてもらわなければならなくなる。
by hiroafukasawa | 2009-04-22 19:38 | デザイン | Comments(0)