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火を燃やす
 古事記の話。
 ヤマトタケルノミコトが東国へ出征した帰り、甲斐の国(山梨県)の酒折宮で一休みした。戦を振り返ったヤマトタケルは
 「新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる」(あれ、常陸の国を旅立ってからどの位たったっけ)と詠った。ところが、兵隊たちはとっさに歌で返すことができなかった。そこに、たき火の火の番をしていたじいさんが
 「かがなべて 夜には九夜 日には十日を」(あれから十日は経ってますねえ)と答えた。名もない火焼(た)き翁(おきな)が武人たちを尻目に、見事な教養を見せたのだが、このじいさん、年寄りなのに戦に駆り出されているところを見ると、名もない翁ではなく、意外と参謀のような人だったのかも知れない。
 
 この秋、かつて造園屋さんでしばらく働いていた弟が、庭木の手入れをしてくれた。そこで剪定された枝が山のようになって庭の1/3を埋めてしまったので、毎週日曜日に少しずつたき火をして燃やしている。庭と言っても狭い敷地で、田舎とはいえ近所にも迷惑になるのでキャンプファイヤーのような大きな火にするわけにはいかず、洗濯物が取り込まれる夕方から小さなたき火に少しずつ枝を入れて燃やしていくわけだ。
 たき火は楽しい。火の番をしろといわれたら、半日ぐらい平気でがんばっちゃうな。乾いた枝や葉に火をつけるのだから、燃えて当たり前なんだが、これにもコツがあって、結構奥が深いのだ。
 もちろん、たき火といえば焼き芋。焼きたてのホクホクの焼き芋の美味しさは格別だ。子どもたちも大喜び。
 日も暮れて暗くなり、火もある程度「熾き」なると、あとは燃え尽きて消えるまで。最後の暖を楽しみに座り込み、昔は火の番を仕事としていたじいさんがいたんだなあ、などと思ってみたりする。
by hiroafukasawa | 2008-12-02 21:16 | 雑記帳 | Comments(2)
Commented by はる at 2008-12-02 23:56 x
 おお、なかなか面白い。こうやって前半と後半が全く違う事がどうやってつながってゆくのか、その過程が面白い。

 ミーちゃんは元気ですかな。
Commented by hiroafukasawa at 2008-12-04 19:03
この秋は マイコプラズマ 禍にあえり
       冬来たりなば 咳も忘るる

関係ないけどもう1首

背わた取る エビの衣は メリケン粉
     揚げても末に つゆに入れつつ

「背わた取る」はエビの枕詞です。(ウソ)
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