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オタク誕生 5
 そんな連中が、「おたく」を使い始めたわけだ。親しい仲なら普通に名前で呼んでいるが、ちょっと距離のある同士(アニメファン)の人たち、例えば他校のアニメ同好会とか、同好だがサークルが違うとか、そんな人たちに向かって呼ぶのが「おたく」だった。「おたくの大学では・・・」とか「おたくらのサークルでは・・・」とか使っていた。これが、私が知る「オタク」の誕生である。自分だけの世界にこもる傾向の彼らには、この「おたく」という言葉が持つ対人関係の距離感がしっくりいったのだと思う。
 まだ「オタク」とは名付けられていなかったが、私もこの連中には近寄りがたいものを感じたことは確かで、サブカルチャーにここまでのめり込んで、社会復帰できるのか? と他人事ながら心配したりした。ところがこの連中は、男も女も、年々増殖していって、最初のアニメオタクから次々と枝葉を伸ばし、様々なオタクが生まれていった。世の中に「オタク」という言葉が定着したころ、私はマンガ家にもなれず、絵描きにもなれず、会社に勤めてグラフィックデザイナーになっていた。
 
 美術作家も、ある意味「美術オタク」なのだが、絵描きがオタクと呼ばれないのは、(表現の仕方はいろいろあるだろうが)美術作品を展示することで美術文化の向上に貢献するというような、広く一般大衆に向かっていく面があるからだと思う。オタクは、あくまでもオタク同士がその「世界」であって、一般大衆に働きかけることはないように思う。そんな違いがあると思うのだが、最近では「オタク文化」とか言って認知され始めている。オタクたちの消費行動がビジネスに結びつけられているという現実を合わせて考えてみても、少なからず「オタク」の「文化化」に違和感を覚えるのだが、いかがなものだろうか?
  かくいう私は、ここ数年、オタクをモチーフに絵を描いている・・・。
by hiroafukasawa | 2008-11-18 21:57 | 雑記帳 | Comments(0)
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