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「イメージ通りのデザイン」
 何年か前だが、私がいつもの店で一人で飲んでいると、男の二人連れが入ってきた。中年と若者。私の隣のカウンターに座り、中年男性がマスターに「彼は印刷屋さんの息子さんでグラフィックデザイナーをやっているんです」と若者を紹介した。同業者だ。さらに「彼は大変センスが良くて、私のイメージ通りに印刷物を作ってくれんですよ」と続けた。どうやら、中年男性はクライアントらしい。クライアントが印刷屋のせがれを接待するという逆転の構図らしい。で、この若者が大変無口で、お酒も遠慮しているのかたいして飲まず、ただ黙って座っている。ここにいることが本意ではないという体だ。クライアントの方はずいぶん彼を気に入っているようだが。

 さて、以前我が社で募集していたグラフィックデザイナーが決まり、5月から仕事をこなしている。「自分で考えてレイアウトを決めたことがない」というようなことを言っていて若干頼りないが、それなりの経験があるので即戦力として活躍してもらっている。私が彼に言うのは「クライアントが出してきた原稿をそのまま作っても、OKはもらえるかも知れないが、それはギリギリ60点の合格ライン。デザイナーなら原稿の意味をよく理解し、よりわかりやすくプラスアルファの提案をしなければいけない」。「もらった原稿を何も考えず、そのまま作ったら、そこらの印刷屋のデザイナーと一緒だよ」と。
 クライアントに「なるほど、この方がわかりやすい」とか「思っていたよりきれい」とか、「やっぱりプロに頼むと違うねぇ」といわれるぐらいじゃないとだめだよな。
 そういえばあの日、マスターは同業者と知ってても私を二人に紹介しなかったな。「私は同業者だけどこの二人の話の輪には入りたくないオーラ」が私から出ていたかもしれないな。
by hiroafukasawa | 2008-05-28 19:29 | デザイン | Comments(0)
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