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母校の卒業制作展
 山梨県立美術館の中に一般の人たちが借りられる展示室がある。「県民ギャラリー」と名付けられている。その展示室で、母校の大学の卒業制作展をやっていたので見に行った。ぼくらの頃は教育学部だったので、学校の美術の先生になるための勉強をする教室だった。私は教職を選ばなかったけれども、教室の同級生は12人いたがそのほとんどが教員になった。今は、学部名も変わり、進路の選択肢も増えたようだ(選択肢が増えたのと就職率は必ずしも比例しないようだが)。
 1学年が10人前後で、教室全体でも44〜45人程度。学生の数は昔も今も大差ないようだ。その人数で、「県民ギャラリー」の「A室」と「B室」の広い空間を作品で埋めるわけだ。ぼくらの頃は授業以外の作品を結構作っていたけれど、いかにも「授業の課題で作ったものです」といった作品が大半を占めている。ぼくの目にはパッケージデザインも工作にしか見えないし、絵画作品のつもりで描いているのだろうけれど、イラストにしか見えない。もちろん、頑張ってレベルの高い作品を作っている人もいる。学生の中には美術作品を作りたくてこの教室は入ってきたわけではない人間もいるわけで、レベルに差がつくのも致し方ないか。
 総じて、時間をかけてじっくり取り組むようなアカデミックな作品は少なくなり、簡単でかっこうよく見える現代美術的なものに流れているような傾向が見てとれる。現代美術が悪いとはいわないが、その作品に何か引きつけられるものがなければ印象にも残らない。
 もうひとつ気になるのが、受付の学生たち。教室の学生が当番を決めて3〜4人座っているのだが、男も女も黒いスーツでそろえるのがここ数年ルールになっているようだ。いつもと違った服を着るのは、気が引き締まっていいのかもしれないけれど、作品の内容と相まって、展覧会が「お勉強作品発表会」的なノリになっていて、むしろ「イベント」とか「お祭り」に近い感じで取り組んでいるような印象を受ける。「その服は、コスプレか!」とつっこみたくなる。

by hiroafukasawa | 2008-03-10 12:03 | レビュー
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