スクエア展を見に来てくれた旧知のおばさんとおじさんの話。
スクエア展の開催中、山梨県立美術館県民ギャラリーA室では、県内アマチュア写真家による合同写真展、C室ではある団体の山梨支部展が開かれていた。C室の展示は、分かりやすい普通の絵が並んでいた。われわれスクエア展は、抽象あり、デフォルメありの大作志向。 そんな中やってきてくれたのは、30年近いつきあいになる画材店のおばさん。スクエアの展示を一通り見て、「いいじゃんねえ」と一言。「ついでと言っちゃあなんだけん、写真も見てかっかね」と言ってA室へ。ぐるっと回って戻ってきて私に一言。「なんか写真はわからんじゃんね」。そして、A室会場受付当番のおじさんに、「ピントはどういう風に合わせるの?」と、なんだかピントはずれな質問を投げかけ、「えっ・・・今はカメラがやってくれるですよ」と答えてくれているのにそれを食い気味に「あたしにゃ絵の方がいいね」と。 写真のことを知らなすぎるのもなんだけど、「おばさん、どう見たって俺たちの絵より写真の方が分かりやすいと思うよ」と私。 「ほうけ」とおばさん。だって、写真展のカメラマンさんたちは、誰もが「こういう絵は難しいねえ」と首をひねっているのに。 もう一人は、こちらも長いつきあいの運送屋さん。我々だけでなくたくさんの作家の作品を東京に運んだり、一年中飛び回ってる。県内作家のことなら私より詳しい。スクエアの搬出をお願いしたので最終日にやってきた。やはり会場を一回りしてから、「C室を見てくる」と言ってしばらくして戻ってきた。そして小さな声で「おんにゃあわん」という。甲州弁でつまりは「俺には合わない(肌に合わない、ということかな)」というわけだ。C室の絵は、あれはあれでいい絵だと思うが、おじさんの好みに合わなかったということ。 東京の公募展に出すような大きな絵ばかり見ている(運んでいる)ので、知らず知らずに目が肥えてしまったのだろうか。 こんな、甲州弁丸出しのおじさんやおばさんでも、いろいろな絵をたくさん見てくると、嗜好も変わってくるんだな、と。だから、普通の人でも、意識してたくさん絵に触れれば、すぐにその楽しさが分かってくるはずなんだな。
by hiroafukasawa
| 2011-07-08 19:48
| 雑記帳
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