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平面化 1
 実は、バルールの話よりも、平面化の説明の方が難しいと思う。

 絵画の平面化について書き込もうと思って、一応いくつかサイトを見て回ったけど、なんか難しいことがいっぱい書いてあって読んでて眠くなってしまった。
 「そもそも絵画は平らな面に描くものであって、そこに三次元の世界を描くことに腐心してきたわけだが、改めて絵は平面なんだと見る側に示したのが、平面化だ」というような考え方も否定はしないが、画家はそんなこと考えながら絵を描いているとは思えない。
 「陰影をつけずに平べったく描けば平面化だろ」というのもあるにはあるが、ちょっと違う気がする。平面化について考えると、「脱遠近法」「視点の移動」「バルール」「自由な表現」「テーマの重要性」「抽象化」というようなキーワードが浮かんでくる。
 とりあえず、平面化といえば「脱遠近法」かな。くわしくはどこかで美術史を見てもらうとして、せっかく画面の中に三次元空間を描ける透視図法などの遠近法を発見したのに、「なんかもっと描きたいものを好きなように描きたい。だって、見たまんまじゃ写真にかなわないじゃん」と言ったかどうか知らないが、「近代絵画の父」といわれるセザンヌ先生は一点透視を捨てて、一つの画面の中に様々な視点から見たモチーフを合成していった。それが「平面化」の始まりなんだといわれている。
 学生時代にブラックの絵を参考に絵を描いたりしたけど、キュビズムを立体派と訳すのは間違いだよね。「立方体」のようなもので構成された絵であって、決して「立体的」じゃない。というか、画面自体は平面化されている。
(つづく・・・かな)
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by hiroafukasawa | 2013-07-31 08:40 | バルール | Comments(0)
バルール 6 まとめ
 まとめ、というか、言葉のニュアンスみたいなもの。
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 これも、描きかけの絵の部分だけど、中央より上の薄い緑色をナイフで塗ったところ、バルールが強くてほかの色と合わなくなった。なので、このうす緑色を基準に、バルールを上げていくことにする。
 バルールというのは、ご存知の通り、色価といって、彩度、明度、色相のどれでもない、画面の中の色の強さで、まわりの色や形、大きさなどによって変わる。で、絵画ではバルールを合わせるのが基本とされている。だけど、言葉で説明するのが大変難しい。
 「バルールが合っている」という状態は、
 写生のような絵の場合、「遠近に添って緩やかにバルールを変化させて描けている」状態。
 平面化された絵の場合、「バルールの幅を狭くして、空間感を出しながらほぼ均一の強さにしていく」状態。
 と、説明すると理解しやすいだろうか(異論があるかも知れないが)。
 「バルールが合っていない」という状態は、
 「物の前後関係がおかしく見える」状態と、「画面上の色面に大きな段差があるように見える」状態だ。前者の場合、静物画などで机の手前の脚と奥の脚を同じバルールで描くと両方手前に見えて位置関係がおかしくなる、というようなこと。後者の場合、これまで紹介してきた画像のように色面が必要以上に奥に見えたり手前に見えたりすることで「合ってない」というより「狂ってる」といった方が適切かも知れない。
 なので、「バルールが狂ってる」状態では絵としてはなはだ芳しくない(抽象画などでは狙ってやることもあるかも知れない)。写生でも、遠近や位置関係がおかしく見えたら、「バルールが合ってない」わけで、直した方がいい(この場合は、見えた通りなので、バルール云々を知らなくても直せる)。

 県内の公募展などに行くと、絵を描き始めてまだ日の浅いとおぼしき方の作品が入選して飾られているけれど、そういう作品を見つけては「バルールの合ってない色探し」をするのが、私の密かな楽しみでもある・・・。フフフ。
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by hiroafukasawa | 2013-07-25 19:24 | バルール | Comments(0)
バルール 5
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 これは仕上がった作品の部分だけど、バルールについて考えながら見るとおもしろいかも。

 バルールについて続きを書くが、「なぜ平面に描く方がいいのか?」という自問に自答しなければならないが、私自身、書きながら考えている所があって、内容にあやふやなところが出てくるかも知れない。ご容赦を。
 さて、写生のような絵ならば、見えた通りに描けていれば、バルールは遠近法に沿って合ってくるはず。この場合では、バルールということを理解していなくてもバルールの合った絵が描ける。
 カメラが発明されると、画家は見えた通りに描くことから卒業しなくてはならなくなった。そんなものは写真にかなわないから。
 さて、ある山の姿に感動した画家がいた。あの山を描きたい。だけど、空気遠近法だとぼんやりさせなければならない。ならば自分の印象に忠実にはっきり描いちゃえばいい、そうすれば写真とは違った絵になる。そこで、遠くの山をはっきりと描いたら、おお、とってもいい感じ。だけど、空とバルールが合ってない。じゃあ、空も強くしちゃえ。麓の中景も、全部近景と同じくらいのバルールで描いちゃえ。かくしてこれまでの古い絵や写真とは一線を画した、新しい力強い絵が出来上がった。同時に、古い遠近法からも卒業してしまった(この辺の美術史的な流れは専門家に聞いて確かめてください)。
 こうして出来上がった平面化された絵は、確かにバルールの幅は狭くなり奥行きの感じは乏しくなるが、画家の感性を前面に押し出せるものだと知れ渡った。さらには、固有色からも解放され、形をデフォルメすることにも遠慮がいらなくなった。しかも、平面に描いても、空間感を出せなくなったわけではない。むしろ、平面に描きつつ空間感を出すのが、画家の腕の見せ所みたいになった。
 というわけで、平面で描くのがなぜいいかというと、画家の思いをより前面に出すことが可能になり、写真や古い遠近法に囚われた絵とは違う、新しい絵画空間を手に入れることが出来るからなのだ(たぶんこういう事で合ってると思うが、どうだろうか)。
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by hiroafukasawa | 2013-07-24 19:48 | バルール | Comments(0)
バルール 4
 私の絵の描き方は、下絵は描くけど、途中はほぼでたらめに色を塗っていって、「何かおもしろいものが出てこないかなあ」と期待しながら進めていくのだが、その過程では、結構バルールが狂った色面が出現する。下の画像も制作途中のバルールの狂い。左下の青と赤(個人差で見え方が違うかも知れないのでその際はあしからず)。
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 面白いのが、空気遠近法でいうところの「寒色は奥に見え、暖色は手前に見える」という法則とは違って、青が手前に飛び出し、赤が奥まって見える。この後、赤のバルールを上げて平面にしていったのだが、ここで言いたいのは「寒色暖色に関係なく、バルールは操れる」ということ。空気遠近法こそが絵画の本質だ、という人には理解出来ないかも知れない。こういうバルールの強さを使って、画面を平面にしていくわけだ。
 じゃあ、画面を平面にしていくと、なにがいいのか?って話になるけど、今回はここまで。
(さらにつづく)
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by hiroafukasawa | 2013-07-23 20:27 | バルール | Comments(0)
バルール 3
 ネットで調べても、バルールについてはあまりたくさん記事が出てこない。その中でも、ちゃんと説明してくれていそうなページを選んで読んでみるが、どうも言ってることが微妙に違う。なんか、私が理解していることが正しいのかどうかも不安になってくる。まあ、名のある先生に教わったことなので、間違いはないと思うのだが。
 「バルールを合わせる」という〝言い方〟に問題があるようなので、「バルールが合っていない」「狂っている」ということがどういうことかを私の絵の例にして説明してみよう。これは、今描きかけの絵の部部だけど、白にはさまれた黒&緑&赤が白に対して奥まって見えるのが分かるだろうか。
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 「指を入れるとズブズブと奥に入っていってしまうような感じ」でしょ。これがバルールが合ってない状態。緑と黒が遠くにあるというか、妙に凹んでいるように見える。例えば、キュビズムのような絵で、色面で画面を構成する場合に、こんな面が所々にあると画面が凸凹して見える。普通の写生画にしても、こういう色面がそのままだと描き手の力量が低く見られる。
 塗り直すとこんな感じ。まだ多少バルールがずれているが、バルールが合ってきたのが分かるでしょ。
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 「白は明るいから前に出る、暗い色は後ろに下がって見える」というのは確かに正しいのだが、それだけではないということが分かっていただけるだろうか。
 写生の場合は、見た通りに描けば大抵、空気遠近法に乗っ取った描き方が出来るので、上の絵のようにバルールがひどく狂うということはあまりないようだ(全くないわけではない)。このときバルールは、遠近感に添って「合っている」。近代絵画の場合は、画面を平面に仕上げていくので意識してバルールを(変に弱いところがないように)「合わせていく」。
 なので、写生の「バルールが合っている」と近代絵画の「バルールが合っている」では、微妙なニュアンスが違うわけだ。
(つづく)
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by hiroafukasawa | 2013-07-22 19:41 | バルール | Comments(0)
水彩画でもやれる
 たまたまネットをウロウロしていたら、「日本水彩画会」のサイトに行き着き、「ギャラリー」を見たら、写実から抽象まで素晴らしい作品がたくさん載っていた。
 以前、「水彩画と油彩画」という書き込みをしたが、やはり、水彩画でも油彩画と同じように絵づくりを追求することは出来るんだと思い直した。ただ、HPを見る限り、水彩とはいっているが実はアクリルかも知れない。透明水彩は少ない気がした。
 それにしてもやはり、全国区のレベルは高い。山梨に住んでいるからといって、透明水彩で山々を写生している場合ではない・・・か。
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by hiroafukasawa | 2013-07-19 18:24 | 雑記帳 | Comments(0)
100円ショップのカラーサンド
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 100円ショップやホームセンターに行くと、いろいろなものが沢山あって、「何かいるものはなかったっけなあ〜」とぶらぶら歩いて、結局たいして必要でもないものまで買ってしまうんだけど、先日、インテリアカラーサンドというものを見つけた。どうも、石を細かく砕いて着色しただけのものらしいが、結構な量が入っていて、つい買ってしまった。
 油絵のマチエールづくりに、貝がらを細かくしたものを絵の具に混ぜたりする。そんな風に使えないかと思ったわけだ。「シェルマチエール」は画材店で買えばそれなりの金額なので、100円ならしめたもの。
 で、使ってみたらこうなった。
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 薄い緑色の部分。う〜ん、ちょっと粗すぎるかなあ。ちなみに、下の黄色の方はまた違ったテクニックを使ったマチエールです。
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by hiroafukasawa | 2013-07-18 11:23 | 制作 | Comments(0)
バルール 2
 バルールについて説明するのは難しいのだが、とりあえず「バルール=明度」ではない。同じ色でも、筆で塗った場合と、ナイフで塗った場合、溶き油の多い少ない(下の色が透けたり透けなかったり)でバルールは変わる。
 で、さらに難しくするのは絵画の表現として「バルールを合わせる」のが良いという場合と「バルールの差をつける」のが良いという場合があることだ。「バルールに差をつければ、遠近感が出る」(空気遠近法みたいなこと)というわけだが、そうして出来上がった絵は、古典的な絵になる。
 現代では「バルールを合わせて画面を作る」のが主流だ。「バルールが同じ絵は平板になる」という落とし穴のもあるが、実は「バルールが合っていても空間は表現できる」のだ。そして、ちゃんと力のある画家は写実でも抽象画でも、しっかりバルールを合わせて描いているのだ。
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by hiroafukasawa | 2013-07-16 18:27 | バルール | Comments(0)
展示してよく見てみたらバルールが・・・(バルール1)
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 この画像は、今年のスクエア展に出品した130号の部分(右下)。大きな絵を描いていると、自宅の狭いアトリエで描いていたときは気付かなかったのだが、県立美術館のような大きな壁面に飾って始めて気付くことがある。今回、この絵を飾ってみて気付いたのは、ワイシャツの襟が飛び出して見えること。つまり、バルールが合ってなかった。
 バルールというのは、ご存知の方も多いだろうが、「色価」というように訳されるもので、色の強さというようなもの。単純に色が鮮やかとか明るいとかではなくて、周りの色やその色面の形とかで左右されたりする。もちろん、遠近法とも関係ない。近代絵画では、バルールを「合わせる」のが基本で、合っていないと画面が凸凹して見える。・・・文字で説明するのはなかなか難しい。
 例えば油絵を描いていて、明るい色が浮いて見えることがあるが、これはたぶん、ほかの色に対してその明るい色のバルールが強すぎるわけだ。そこで、大抵の場合、その明るい色を抑えて全体に合わせて安心してしまうのだが、これはバルールの弱い方に合わせたわけで、絵全体は(まとまった感じがするが)弱くなってしまう。逆に、その明るい色に合わせてほかの色のバルールを強くしていくと、ビックリするほど絵がキラキラしてくる。
 この画像の部分がまさにその通りで、襟の色のバルールが強すぎるというより、あごとスーツ、特に黒っぽいスーツの赤のバルールが弱いわけだ。大学時代の恩師T先生がよく「色の上に手を乗せるとズブズブと奥に入っていってしまう感じ」といっていた、そんな感じだ(この例えも分かりづらいかも知れないが)。
 つまり、私もまだまだ修行が足りないということだ。
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by hiroafukasawa | 2013-07-15 12:06 | バルール | Comments(3)