カテゴリ:イラストと美術作品( 6 )
イラストと美術作品の違い 追記4
 私の考えるイラストと美術作品の違いを表にまとめてみた。
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 これだけを見ても、ピンと来ないかも知れないけどね。
決してイラストを卑下するわけじゃないんだけど、結果的にそうなってしまったかな(笑)。
とりあえず6つの項目を対比させてみたけれど、6つ全部クリアしないと美術作品とは呼べない、というわけじゃなく、美術作品でもイラストの要素が多いと「おや?」という絵になるわけで、まあ、はっきり分けているようで依然境界はあいまいなまま。 

 結局、自分の目で見て判断するしかないでしょう。判断するためには、たくさん、いろいろな絵を見て目を肥やさないといけないでしょう。

 「そもそも、なぜそんな判断が必要なのか。絵は描く方も見る方も楽しめればそれでいいじゃないか」みたいなきれい事を言われるかも知れないけれど、心に響くいい絵と、なんかつまらない絵は共に存在しているわけで、だったらその区別がついた方が、見てて面白いんじゃないでしょうか。いわゆる鑑賞眼というやつですかね。

 また、偉そうなこと書き込んじゃったかな。
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by hiroafukasawa | 2014-08-06 15:44 | イラストと美術作品 | Comments(5)
イラストと美術作品の違い 追記3
 絵を始めて間もない人たちの展覧会などに行くと、「写生画」の壁を越えるのは難しいことなんだな、と思う。もちろん、写生は絵画の基礎だから、軽視するわけではないけど、いわゆる「写生画」がたくさん並んでいると、どれも同じに見えてしまう。いや、一枚一枚比べれば、それなりに個性があるのは分かるんだが、どれも見えた通りにちゃんと描いてあるだけなので、それ以上のものを感じられない。もっと言えば、「この程度なら、何年か絵の勉強をすれば、誰にでも描ける」と思うわけだ。
 ただ、絵を描く人間が最終的に目指すものの一つに「その作家にしか描けない絵を描く」というのがあって、写生を極めて、その人にしか描けないような、写生を越えた写生に出合うと、「おお」と思う。
 その人にしか描けない絵というのはつまり、長年の試行錯誤の積み重ねの上にその作家の人生だったり、人間性だったり、そんなものが絵ににじみ出ているようなものかな。陳腐な表現だけど「魂がこもっている」ということか。

 イラストと美術作品の違いの答えが「魂がこもっているか、いないか」という精神論に落ち着かせるのは大変抵抗があって、これまで避けてきたのだけれど、結局そうなってしまうのかな、と思う。

 
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by hiroafukasawa | 2013-06-05 15:10 | イラストと美術作品 | Comments(2)
イラストと美術作品の違い 追記2
 以前長々と書いたイラストと美術作品の違いだけど、美術作品として描かれたものであっても、イラストにしか見えない絵があるというのはどういうことかと考えてみた。
 イラストは、何を描くかアイデアを決めてから完成するまでが「作業」でしかない。作業を進めれば順に完成に近づく。
 美術作品は、絵を描きながら試行錯誤していく。どうしたら自分の思いがうまく表現できるか、あるいは、どうしたら他にない面白い表現ができるか、など、ああでもない、こうでもないといろいろと試しながら描いていく。そして、完成というものがあるようでない。どこかで現れる「完成」を待ちながら試行錯誤を続けていく。その課程で、作家は自分と向き合い、絵を描くことの意味を考える。その結果、絵が人の心を打つものになっていく。それが美術作品。それがないと、美術作品なのにイラストのように見える。

 結局「意識の違い」という話に落ち着くのか、という向きもあるだろうが、「作家がイラストを描こうと思って描いたものがイラストで、美術作品を描こうと思って描いたものが美術作品だ」というのとはちょっと違う。
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by hiroafukasawa | 2012-10-18 12:53 | イラストと美術作品 | Comments(0)
イラストと美術作品の違い
 ここのところずっと、「イラストと美術作品の違い」を改めて考えていて、文章にまとめてみた。自分の覚えとしてここに載せておくもので、読んでもらわなくてもかまわない。長文だし。しかも上から目線だし・・・。


 「イラストのような絵だ」という批評を耳にすることがある。近年、出版界などで芸術的傾向の強いイラストが重用されたり、美術作家の作品をイラストとして利用したり、その境界が曖昧になってきた。どこまでがイラストで、どこからが美術作品なのか、考えてみた。
●落書き
 他人に見せることを前提にしていない絵。描いた本人(とその周辺の数人)だけが楽しむような絵。
●幼児の絵
 展示するかどうかは知らないが、周りの人に伝えたい気持ちはいっぱいの絵。遠近法や天地も無視して、描きたいものを描きたいように描く。絵画の本質がここにある。
●イラスト
 そもそもイラストというのは、「挿絵」であって、文字で書かれた物語を、視覚でフォローしようというもの。つまり物語の視覚的「再現」。他人に見せることを前提にしていて、事物・事象を再現して、誰にでもわかるように説明するための絵。それは写実ということだけではなく、たとえデフォルメしてあっても、色彩が独特であっても、誰が見てもそのものがそのものとしてわかるようにと意図され、説明的に描かれている。作家が以上の目的で描いたものがイラストである。
 イラストとは
1. 上記のように作家がイラストとして描いた絵。商業的に成功する、しないは別の問題。
2. 作家はイラストとして描いたが、クオリティが高く、ユーザー個人が美術作品として扱う絵。実体はあくまでもイラスト。
3. 本来はイラストだが、美術品販売会社が「アートである」と付加価値をつけ、商品として扱うもの(詐欺まがいの商法もある。作家自身が被害者になるケースも)。実体はやはりイラスト。
●美術作品(ファインアート)
 描くテーマを吟味し、「説明」することにこだわらず、その作家だけの「表現」がなされている作品が「美術作品」といえるのではないか。展示することが前提なので、独自の表現を追求する一方で、独りよがりに陥ることを避ける。作家個人の「表現に対する欲求」から始まり、完成作品には普遍性を加えることをめざす。
 ところが問題なのは、美術作品として描かれたものでも、残念ながらクオリティの低い作品があること。
4. 作家は美術作品として描いたかも知れないが、形を取って固有色を塗っただけの絵では、美術作品にはだいぶ遠い。ぬり絵に近い。
5. 作家は美術作品として描いているのかも知れないが、デッサン力も表現力もなく、アラばかりが目立つ作品。うっかりすると「素朴派」などと冠をつけられることがあるが、素朴と下手は違う。
6. あまりに説明的すぎて、絵から受ける感動もないような絵。あるいは、作家自身の意識が、上記イラストの項のように物事の再現にとどまっている。これは限りなくイラストに近い。ただ上手な絵。
7. 描くことがただの「作業」になっているような絵。描きはじめから完成までストレートに作業が進み、一通り塗り終わったところで機械的に終了する。作品が、作家が持つ完成イメージにかなり近い形で完成する。紆余曲折も試行錯誤もない。いわゆる「イラストのような絵だね」と批判されるのはこんな絵か。作品から「安直さ」を感じ、 「私にも描けそう」というような感想を持たれてしまう。
 というような美術作品が世の中にはたくさんあって、「イラストと美術作品の違いは何か」という話をかなりややこしくさせている。「こんな絵より、あのイラストの方が数段いい」ということが頻繁にある。

 ならば、美術作品とは
8. 作家が描きたいテーマを持っていて、そのテーマを表すのに最善と思われる表現手法によって描かれる。
9. 物事の「再現」や「説明」にとどまらず、オリジナルな「表現」によって描かれる。「絵づくり」がされている。
10. 作家がその作品に対峙した軌跡が感じられる。試行錯誤の跡が感じられる。
11. 10もふまえて、人の心に届くものがある。言葉や文字で表せない感情や感動を表している。「怒り」「悲しみ」、または「迫力」「静けさ」といった感動。例えば写実でも、(写真のように描けているだけの作品と違い)ずば抜けた作品は見る人に感動を与える。ただし、これは人の心に届くものなので、誰にでも同じ意味を伝えることはできない。見る人それぞれに届くものが違うかもしれない。それは美術作品の懐の深さである。
 つまり、作家が「説明」のための「道具」として(イラストを描こうとして)描かれた作品はイラスト。なので、イラストが美術作品になることはないはず。イラストレーターが美術作品を描こうとしてできた作品は美術作品になる。ただし、美術作品もそのクオリティによる。クオリティの高い美術作品は、「説明」することにこだわらず、試行錯誤の積み重ねにより絵づくりがされていて、その作家だけの「表現」がされている。さらに、見る人に感動を与えることができる。それが「美術作品」だ。
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by hiroafukasawa | 2012-06-07 11:11 | イラストと美術作品 | Comments(2)
イラストとの違い2
 イラストが「説明」で、美術作品が「表現」とかいわれても、イラストも表現じゃねえのかよ、じゃあ表現って何だよ、という話になる。

 毎年1回は、高校生の作品を見る機会がある。高校生の油絵の展示。
 美大受験用に、石膏像とか入れて静物を組んで描いた、技術中心のかたいような絵は置いといて、高校生の中にも、自分の内面世界を表現した作品を出品している子がいる。孤独とか満たされない感じとか将来の不安とかもう一人の自分とか、テーマはそれぞれあるようだが、どうもおじさんの目から見ると今ひとつイラストから抜け切れていないという感がある。
 自分でテーマを決めるのはいいんだが、そのテーマを一生懸命「説明」してしまうんだな。だから面白くない。
 普通に見ると、静物の方が上手に描けていていい絵に見える。

 小学校低学年の絵は、感覚中心で好きなように描いているので、大人が見てもハッとするような傑作がある。ところが遠近法とか色がどうのとか正確な形がどうのとか言い出すとどんどん説明的になってくる。

 そこからもう一度、「説明」をそぎ落としていった先に、自分だけの表現があるんだと思う。そこまで行けてると美術作品。そこまで行けてない説明的なのは「イラストみたいな絵」。説明するために描くのはイラスト。
 ということで、どうでしょうか。
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by hiroafukasawa | 2009-11-25 19:24 | イラストと美術作品 | Comments(0)
イラストとの違い
 休日出勤なので、忙しいけどなんとか投稿する。

 美術作品とイラストの違い。それはなんでしょう?

 アマチュアカメラマンが「いい写真だ」とか「よく撮ったじゃん」というのは、確かに美しい写真かもしれないが、それは事物の「再現」にすぎない。条件が同じならば、同じような写真は撮れる。
 そこから一歩抜け出して、プロとして活動するような人は、自分の作品を「再現」ではなくオリジナルな「表現」にするために努力し、悩んでいるそうだ(そういう人の話を直接聞いたことがある)。
 イラストというのは、そもそもは「挿絵」であって、文字で書かれた物語を、視覚でフォローしようというもの。つまり「説明」だ。この「説明」という感覚が写真でいうところの「再現」とよく似ている。
 つまり、おおざっぱな言い方にすぎるかもしれないが、「説明」ではなく、その作家だけの「表現」がされている作品が「美術作品」で、「説明」で終わっているのはイラスト、といえるのではないか。

 ま、自分の作品の出来を棚に上げて言ってるわけなんだけどね。

 ひとつややこしいのが、見る側の物差しが足りない場合。そこらのおじさんたちのように「分かる」「分からない」で判断されると、イラストのような絵ばかりが評価されることになってしまう。絵をたくさん鑑賞していけば、それなりに目も肥えていくので、例えば去年「分からない」と思っていた絵が今年は「なんかいい絵に見えてきた」ということもあり得るわけだ。

 どちらにしても、自分の表現ができるように、少しでも多くキャンバスに向かうことが必要だな。
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by hiroafukasawa | 2009-11-23 16:38 | イラストと美術作品 | Comments(0)