甲州弁版寿限無
 ふと、甲州弁版寿限無というのを思いついたので書き込んでおきます。千葉県生まれなので、ネイティブな甲州弁はよくわからなくて、ところどころもっと甲州弁に直せるところもあるかも知れないけど、とりあえず。

「ご隠居、いいお天気で」
「なんで、なんか用け」
「ご隠居、今度おらんほうえ、ぼこんできるんだけんど、うまい名めえをつけてくれちゃあとおねげえに来たっちゅうわけだけんど、どうずらか?」
「てっ! そりゃめでてえじゃん。で、どんな名がいいで?」
「ほうさなあ、いつまでも元気で、長生きできるっちゅう、おぶくんある名がいいじゃんね」
「だったら寿限無なんちゅうのはどうで。いつまでも限りなく生きられるっちゅう意味だけんど」
「寿限無け、いいじゃんけ。寿限無ね」
「なんで! メモとってるだけ。たいしたもんじゃん」
「・・・だけん、ちっとピンとこんねえ。もっと山梨らしい名がいいな」
「山梨らしい名? なんでそりゃ。ああ、それじゃ都留がいい。鶴は千年。長生きの象徴で、都留にゃ不老不死の霊泉が湧いてたっちゅう伝説があるくれえだ」
「都留の霊泉ねえ。・・・そうだなあ、いまちっと立派な名めえはねえけ。郷土の誇りみてえな」
「立派な名け。山梨で立派っちゅうは武田の御屋形様になっちもうけんど、信玄なんちゅう名じゃ、恐れ多くて生まれて来るぼこも困るらに。信玄の前の晴信だったらいいかも知れんけんど」
「なるほど、寿限無寿限無、都留の霊泉、武田の御屋形、信玄、晴信」
「て、全部メモってるだけ」
「ほうだねえ、信玄公はやっぱ立派すぎじゃんねえ。元気で長生き、ほんでもっと親しみやすいっちゅうはねえけ」
「山梨で?」
「山梨で」
「山梨で親しまれてるっちゃあ、ほうとうじゃんね。麺が長くて、精もつく。元気で長生きの縁起が担げるらに。昔っから『うまいもんだよ、かぼちゃのほうとう』っちゅうじゃんな」
「ほうとうねえ・・・。だったらもっと、かわいい名はねえけ」
「かわいい名。・・・山梨の果物でいうとモモかねえ」
「モモ?」
「モモ、ブドウ、スモモ、もろこし、サクランボ」
「へ? こう言っちゃあなんだけんど、もろこしはくだもんけ?」
「おまんも結構こまっけえこんを言うじゃんけ。そこはいいだよ」
「う〜〜ん、ふんじゃあ、もっとこう価値んある、お宝っちゅうような名めえはねえけ」
「お宝? 山梨のお宝っちゅえば霊峰富士ずらねえ。あとは水晶。昔、絹織物が盛んだった頃ぁ、養蚕農家のお宝はおぼこさんだったけんどねえ。甲斐絹ちゅって有名だったもんだ」
「ああ、お蚕さんのこんだね」
「どうで、まだなんかあるだけ」
「ん〜〜、まあ、こんなもんずらかねえ」
「なんで、えらそうに。で、どれにするで?」
「どれんしっかねえ。選ぶが難しいじゃんね。いっそのこと全部ひっくるめて一つの名にしちもうけ」
「はあ?」
「寿限無寿限無都留の霊泉武田の御屋形信玄晴信うまいもんだよかぼちゃのほうとうモモブドウスモモもろこしサクランボ霊峰富士山水晶おぼこさん」
「えらく長い名めえじゃんけ。いいだけ、ほれで?」

 本当の寿限無はもう少し話が続きますが、おあとがよろしいようなのでこのへんで。
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by hiroafukasawa | 2014-05-23 15:15 | 雑記帳 | Comments(0)
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