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見えない道しるべ
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 そんなびっくりするような話でもないんだが、偶然ってすごいなあと思ったことを一つ。

 仕事で、某カメラマンと某施設を訪問して撮影をした。一通り撮影し、帰りがけ、駐車場でカメラマンが「忘れ物をした」といって施設の中に引き返した。その施設は甲府から40分くらいの場所にあって、なかなか行くことのない所なので、施設の外観だけ撮っておこうと私も自分のカメラを出して撮影を始めた。そこへカメラマンが戻ってきて、「今日は天気がよすぎて、コントラストが強すぎちゃいますね」と言い、「そうなんですけど、しょうがないですよね」と返すと「HDR合成をするといいですね」と言う。
 一つのアングルで露出を変えて撮影し、白く飛んだり黒くつぶれたりしていない所を合成するのは、仕事でPhotoshopを使って昔からやっていることだが、ものにもよるが、半日くらい作業に時間を取られることがある。それを自動でやるソフトがあるというのだ。最近ではカメラにその機能が搭載されているとか。しかし、「へえ、そうなんだ」とその場の話は終わった。
 数日後、その「なんとか合成」が気になってネットで調べてみると、「ハイダイナミックレンジ合成」のことだとわかる。なかなか便利そうな機能だな、と思って続けて調べると、今まで知らなかったがPhotoshopにもそんな機能が備わっていることがわかる。
 なるほど、次にそんな仕事があった時は使おうと思った矢先のこの週末、教室で風景の写生に出かけ、参加者それぞれの構図の写真を撮ることに。実にいい天気で遠くの山々までよく見える(中央アルプスが見えた)が、写真にするとコントラストが強すぎる。「そうか、HDR合成だ」と思い出し、偶然車に三脚も乗せていたので持ってきて、画角を変えずに適正とアンダー気味とオーバー気味の三枚を次々と撮影(AEB)。
 残念ながら、私のカメラにはHDR合成の機能が搭載されていないので、Macで処理することに。結局、Photoshopの合成は今ひとつだったので、CanonのDigital Photo Professionalで作業をした。遠景の南アルプスの雪化粧も飛ぶことなく、近景の影の中もつぶれず、(絵を描くための元として)素晴らしい写真に仕上がった。

 あの時、某カメラマンが忘れ物をしなければ、私が建物を撮ろうと思わなければ、こんな展開にはならなかった。たまたま車に三脚が乗っていたという偶然もあるが、たった5日間の出来事だ。ちょっと大げさかも知れないが、なにか、見えない道しるべに導かれたような気分だ。

 実は、次回2月の個展にむけ、こんな「見えない道しるべ」をテーマにして絵を描いている。
by hiroafukasawa | 2013-11-25 13:25 | 雑記帳
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