エビチャーハン
 先日、会社の近くの中華屋さんへ行った。残業の時によく利用する店なので、すっかり常連だ。場末の中華屋で、おじさんとおばさんの二人でやっているのだが、なぜか「マスター」と「ママ」と呼ばれていて気色悪い。
 メニューもだいたい覚えているので、店へ入るなり「肉チャーハン」と注文して席に着いた。すると、愛想のいいおばさんがいつにも増して愛想よくお茶を持ってきて「なに? 雑誌見てくれた?」という。キョトンしていると「マンガよ。これこれ」といって漫画雑誌を開いて渡してくれた。そこには「ナントカ漫画章受賞作品」(賞の名前忘れた)と冠のついた読み切り漫画が。そして、その漫画の舞台がなんとこの店をモデルにした中華料理店だった。外観がそっくりに描いてある。店名も同じ。小学生の子どもがいつもまかない料理ばかりで「たまにはエビチャーハンが食べてえよ」とか言っていて、紆余曲折があってラストに友だちと一緒にエビチャーハンを食べてハッピーエンド。
 「え、なにこれ? なんでこの店が出てるの?」と聞くと、「息子よ。息子が描いたの」という。
 「だって、おばさんの息子じゃ、結構いい年じゃないの?」
 「そうなのよ、結婚して子どももいるの」
 「それで漫画家を目指してるの?」
 「違うのよ。目指しているのミュージシャン」
 「ええっ???」
 「サラリーマンやりながらバンドやったりして、たまに漫画も描いてるの」
 ここにも夢を追う男がいたか!!
 「なに、漫画読んでくれたんじゃなかったの? エビチャーハン頼むからてっきり・・・」
 「おれが頼んだのは肉チャーハン。エビじゃない」
 「ええ? あらたいへん。マスター、エビじゃなくて肉だって!」
 なに舞い上がってんだろうか、この夫婦は。
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by hiroafukasawa | 2010-08-03 21:59 | 雑記帳 | Comments(2)
Commented by はる at 2010-08-04 12:16 x
 へっ~、面白い!
Commented by hiroafukasawa at 2010-08-04 22:01
息子さんの奥さんもミュージシャンらしいです。
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